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「ご冥福」の意味と使い方・使用を避けた方が良いケースもご紹介

2022/10/19 更新日:2024/04/18
弔電でお悔やみの気持ちを伝える際によく使われる表現として「ご冥福をお祈りします」というものがあります。しかし、中には「ご冥福」の意味を知らずに使っているという方もいらっしゃるのでしゃないでしょうか。広く使われる言葉ですが、実は「ご冥福」という言葉は使用を避けた方がいいケースもあるのです。
今回は、「ご冥福」という言葉の意味と正しい使い方、そして「ご冥福」を使用した弔電・お悔やみの文例を解説します。

「ご冥福」とは?

「ご冥福」は、仏教や道教の教えから由来している言葉です。
仏教では、「輪廻転生」の教えを説いています。人は亡くなったら「冥土」へ行き、四十九日間をかけて旅をして、本人の生前の行いや残された家族の供養によって審判を受け、四十九日目に死後の行き先(生まれ変わり先)が決まるとされています。
「冥」は「冥土」つまり「転生をする前に審判を受ける死後の世界」を表し、「福」は「福を招くこと」や「幸福」を表しています。この二つが合わさった「冥福」は「死後の世界(冥土)での幸福」という意味になります。
つまり「ご冥福をお祈りします」は「死後の世界(冥土)での幸福を祈っています」という意味の言葉なのです。

「ご冥福」の正しい使い方

ここからは「ご冥福」という言葉を正しく使うために、必要な知識について解説します。

「ご冥福」は「故人に向けた」言葉

基本として押さえておくべきことは、「ご冥福をお祈りします」という表現は「故人に向けた」言葉ということです。
したがって、弔電のメッセージが故人に向けて書かれている場合は、「ご冥福をお祈りします」という表現を使用しても問題ありません。
しかし、一般的に弔電はご遺族に向けて送るものなので、メッセージもご遺族に向けたものであることが多いでしょう。ご遺族に向けたの弔電で「ご冥福」を使用する際は、「〇〇様のご冥福をお祈りいたします」というように故人の名前を添えると、故人との別れを悲しむ気持ちがご遺族にも伝わります。

ご遺族の気持ちにも配慮する

弔電でお悔やみの気持ちを伝える際は、ご遺族の気持ちに配慮することも大切です。
大事な家族を失くしたばかりのご遺族は、故人の死後の世界での幸福を祈ってもらっても受け止めることができないということもあります。そのため、ご遺族の考え方によっては「ご冥福をお祈りします」という表現を控えた方が良いというケースもあるのです。
ご遺族が気にされるか不安な場合は、「お悔やみ申し上げます」などといった表現を使うのが良いでしょう。

「ご冥福」の使用を控えたい場合の弔電・お悔やみの文例については、下記の項目でも紹介していますのでぜひ参考にしてください。

「ご冥福」と「宗教」の関係

「ご冥福」という言葉は、仏教の教えに基づいた言葉であるため、故人の宗教・宗派によっては「ご冥福」の表現自体が適切ではないケースもあります。
代表的なものだと「浄土真宗」「神道」「キリスト教」が挙げられます。

ここでは、それぞれの宗教・宗派で「ご冥福」の使用を避けた方がいい理由と、実際に弔電を送る際に使用できるお悔やみの文例をご紹介します。

浄土真宗

仏教の中でも、「浄土真宗」では「ご冥福」という言葉は使われません。
浄土真宗では、「臨終即往生(りんじゅうそくおうじょう)」という、「亡くなった方はすぐに極楽浄土へ行って仏様になる」という教えを説いているので、亡くなった方が死後の世界(冥土)で過ごすことはありません。ですから、故人の冥福を祈る必要がないのです。「ご冥福」を使用してしまうと、仏様になれず死後の世界に迷い込んでしまうという意味にとらえられ、失礼にあたる可能性があります。
故人の宗派が「浄土真宗」である場合は、「ご冥福」という言葉は使用しないようにしましょう。同じ理由で「安らかにお眠りください」という表現も避けたほうが無難です。

故人の宗派が「浄土真宗」である場合の弔電では、
・心よりお悔やみ申し上げます
・謹んで哀悼の意を表します
といった表現を使用すると良いでしょう。
これらの表現は宗派を問わず使用することが可能です。

神道

「神道」では、「亡くなった人は家の守り神」になると考えられています。
そもそも「冥土(死後の世界)」という考え自体が無いため、「ご冥福」という言葉は適切ではありません。
「ご冥福」のほかにも、「成仏」や「供養」といった仏教に基づいた言葉は神道には適さないので弔電を送る際は注意しましょう。

故人の宗教が「神道」である場合の弔電では、
・御霊(みたま)のご平安をお祈りいたします
・御霊が安らかならんことをお祈りいたします
などの表現が適しています。

キリスト教

キリスト教の教えでは、「死は終わりではなく、死者は神様のもとへ召されて復活の日まで天国で過ごす」と考えられており、亡くなった方は死後の世界(冥土)に行くことはありません。そのため、キリスト教の方に弔電を送る場合は「ご冥福」という言葉は適切ではないのです。
また、先述したようにキリスト教において、死は悲しいけれど必ずしも悔やまれるものではないため、お悔やみの言葉を使用しないケースもあります。大事な家族を失くしたご遺族の悲しみに寄り添うのはもちろんですが、故人の死を強く悔やむような表現は避けたほうが良いでしょう。

故人の宗教が「キリスト教」である場合の弔電では、
・神の御許に召されました○○様の、安らかなお眠りをお祈り申し上げます。
・神の御もとへ召された○○様が、安らかに憩われますよう心よりお祈り致します。
といった表現を使用するようにしましょう。

キリスト教の文例については下記のページでも紹介しています。

弔電・お悔やみ文例集 キリスト教の文例

弔電・お悔やみの文例

最後に、「ご冥福」を使用した文例と、どのような宗教・宗派の方にも使用することができる文例をご紹介します。

「ご冥福」を使用した文例。

・〇〇様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げますとともに、心からご冥福をお祈りします。
・突然の悲報に接し、驚いております。ご生前のお姿を偲び、謹んでご冥福をお祈りいたします。
・ご生前のご厚情に深く感謝するとともに、故人のご功績を偲び、心からご冥福をお祈り申し上げます。
・○○様のご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。ご生前をお偲びし、悲しみにたえません。心からご冥福をお祈りいたします。
・突然の悲報に接し、ご遺族様のお悲しみいかばかりかと拝察いたします。遠方により、お別れもできなくて残念です。故人のご冥福をお祈りいたします。

どのような宗教・宗派でも使用できる文例

下記のような表現は基本的にはどのような宗教・宗派でも使用ができます。
「心より」「謹んで」「衷心より」といった言葉を合わせて使用すると良いでしょう。
・哀悼の意を表します。
・お悔やみ申しあげます。
・悲しみにたえません。

具体的な文例をいくつかご紹介します。
・悲報に接し、悲しみにたえません。在りし日のお姿を偲び、謹んでお悔やみ申しあげます。
・ご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申しあげます。ご家族の皆様が心を合わせて、強く生きられますようお祈りいたします。
・ ご訃報に接し、惜別の念を禁じ得ません。弔問かなわぬ非礼をお詫びし、謹んで哀悼の意を表します。
・ご逝去のお知らせを受け、悲しみにたえません。すぐにでもお別れに伺いたいのですが、今はただ遠方より故人の安らかなお眠りをお祈りいたします。


上記以外の弔電・お悔やみの文例も下記のページで紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

弔電・お悔やみ文例集はこちら

まとめ:「ご冥福」は正しい使い方をして失礼にならないようにしよう

「ご冥福」という言葉は、遺族に対してではなく故人に対して用いるもので、使用する際は相手の宗教に配慮が必要であることを解説しました。よく耳にする言葉ではありますが、使い方次第ではご遺族に不快な思いをさせてしまう可能性のある、意外と難しい言葉です。
「ご冥福」を使用する際は、その意味を理解した上で、故人の宗教・宗派にも配慮しつつ、ご遺族にしっかりと故人を偲ぶ気持ちを伝えられるようしましょう。

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